大崩・佐久間湖めぐり

日時:2007年4月15日
記録:ふわくハイキングサークル


-水仙から桜花の花の郷・新芽が目にしみる野鳥とせせらぎの道-

ほたるの里の滝南房総の新しい「水仙の郷」として売り出し中の大崩(おくずれ)の集落を歩き、眼下に広がる佐久間湖の岸辺をほっつき歩いた。

春とは名ばかりの三月の初め、岸辺の桜は花を開いていた。

例の河津桜かと思ったら「頼朝桜」と言うのだそうだ。足元の白い水仙の花々の上に、ピンクの桜の組み合わせは、お見事と言う他にない。まさに「花の郷」そのものだ。

春の陽光に照らされ、気温が上昇するに従って、水仙の香りが斜面をはい上がる。桜の花の香りとまちがえてしまうほどだ。

東京湾に注ぐ佐久間川とその上流域に広がる大崩の山里は、飲み水や農耕の水涸れに悩まされつづけていた。それを解消するために、佐久間川を塞き止めて県営の佐久間ダムを造った。

地元鋸南町の人々は、湖水周辺は地元民の力で整備しようと“佐久間ダム湖観光生産管理組合”を結成し、山の斜面や棚田の土手を利用して水仙の栽培をすすめ、およそ十年をかけて”水仙の郷”をつくった。

人が呼べるようになったので、湖畔に早咲きの桜を植え、頼朝桜からしだれ桜、八重桜とつづけ、新芽の美しさと秋にそなえて山楓を何百株も植えつけた。

湖面が一望できる高台に展望台も設けた。眺望百選にも入った。

新長尾橋の手前に駐車場とトイレを造り、農村交流センターと案内所を開設し、橋野崎左側に水道施設と調理場に東屋も建て整備した。さらに有志数人で湖畔の上にそびえる巨大なケヤキと楓の残る古屋敷跡から裏側の渓谷に降りる渓谷の路を開通させた。

この新歩道は、せせらぎと野鳥のさえずりに染まり”鋸南のおいらせコース”と名付けてもよい路だ。こころゆくまで、ゆっくりと約一時間かけて歩かせてもらった。この路には”山菜コース”の案内板もあって、山ゼリ・ミツバ・ヨモギ・ゼンマイ・ハコベなどが採り放題で、山の民の人々の暖かい心づかいが感じ取れるコースだった。

(記 – ふわくHC中原さん)


オプションコース:津森山から人骨山へ
12月から1月は、大崩の水仙まつりが開かれます。水仙の花を見ながらの津森山と人骨山のハイキングもお勧めです。国境を決める”見積もり”から、地元では津守山と書くそうです。

人骨山は、鬼の民話と姥捨山の伝説の話を聞いています。恐ろしい名前の山ですが、この時期は山頂から富士山がよく見えます。

大崩から佐久間湖への案内

  • JR内房線の保田駅から町営巡回バスで終点の大崩へ
  • 道の駅ふらりから町営巡回バスで佐久間湖へ
  • マイカーは館山道鋸南ICから道の駅ふらりへ、そこから佐久間湖まで約十分
  • 長狭街道(県道)湯沢三叉路から町道へ入り、大崩トンネルの先の大崩三叉路を右へ
  • 町営巡回バスのお問い合せは 0470-55-1560
  • 佐久間湖には、己井沢大滝、冨田滝などの滝がある。
人骨山の話
大崩の畑地区に、人骨山という山があります。ここには昔、鬼が住んでいて、毎年節分の日になると、村の娘を一人ずつ生贄に山へ連れてくるようにと、村人の家に手紙を投げ入れておどしていました。毎年、泣く泣く娘が山へ登っていき、決して帰ってはきませんでした。

そんなことが続いたある年、一人の旅の修験者が村に来ました。村人の話を聞いて、「私は同じような話を琵琶湖のほとりで聞いたことがあります。その村では大きな犬を使って、鬼を退治したとのことです。」と言いました。

村人は、さっそく琵琶湖まで行って、ドン太郎というその大きな犬を探し出し、借りてきました。そして節分の日、ドン太郎を山にあげて、ついに鬼を退治させたのです。

村に平和が戻ってきましたが、それまでに娘を差し出した家のことを思って、節分を思い出す行事はしなくなりました。今でも、大崩では節分に豆まきをしない風習が続いているそうです。

※千葉県鋸南町 人骨(ひとほね)山城(鋸南町畑字人骨山)の話(多数画像あり)